薬を悪とみなしたり、薬ばかりに頼ったりする方をよく見かけます。
薬は悪だという方には特にこちらからお伝えすることはないのですが、
薬ばかりに頼っている方には少し薬剤師としてお伝えしたいことがあります。
あくまでも薬は依存しないように上手に使うことがポイントなんです。
たとえばステロイド
ステロイドは抗炎症効果が高く、かゆみや炎症を強力に抑えてくれます。
なのでアトピーや湿疹などによく使われます。
しかしこれは効果があるだけに連用している方が多いのです。
ステロイドの慢性使用は皮膚を萎縮させます。少なからず体内にも移行し
副腎のホルモン分泌に少なからず影響を及ぼします。
ステロイド長期使用による副腎抑制が起こるとステロイドをやめたときに体調悪化を招く方が多いのです。
副腎抑制で起こる主な症状(=ステロイド離脱症候群や副腎不全の兆候)
症状カテゴリ | 主な症状 |
全身症状 | 倦怠感、無気力、全身のだるさ、集中力低下 |
自律神経系 | 立ちくらみ、低血圧、食欲不振 |
消化器症状 | 吐き気、嘔吐、腹痛、体重減少 |
精神症状 | 不安感、うつ状態、イライラ |
低血糖症状 | 冷や汗、動悸、ふらつき、頭痛 |
副腎クリーゼ(緊急状態) | 意識低下、急激な低血圧、ショック状態(命に関わる |
なので薬の連用はあまり推奨していないのが実情です。
それよりかはなぜそのような状況になってしまったのかを把握して少しずつ改善へ導かなければならないと感じます。
皮膚でステロイドを使う代表的な疾患はアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎と診断されたらまず使う薬はステロイドがまだ主流ではないでしょうか?
ステロイドは効果があります。かゆみが抑えられ炎症も軽減します。しかしアトピーの根本治療にはならないです。
まずはアトピーの原因となる肌のバリア機能の低下をコントロールしてあげないと肌状態は改善に向かいません。またアトピーの方の食生活も同時に変えていく必要があります。
肌の機能、体の機能の同時にアプローチしていくことでアトピーの方の多くは肌の状態が良い方向へ向かい、ステロイドを塗らなくても良い状態へ向かうことができます。
あくまでもステロイドはかゆみや炎症を一時的に抑えるものとして考え、抑えている間に肌の状態をしっかりいい状態へ向かわせていく。それが非常に大事な考えです。
そのコントロールとしてのステロイドの使い方は非常に有用性があると私は考えています。
そしてニキビ
ニキビは思春期ニキビ、大人ニキビがあります。
思春期ニキビは、思春期におけるホルモンバランスの変化、とくにアンドロゲン(男性ホルモン)の分泌増加が主な原因です。
アンドロゲンの影響で皮脂腺が刺激され、皮脂の分泌量が増加します。過剰な皮脂は毛穴を詰まらせやすく、皮膚常在菌(特にアクネ菌)の増殖を助長し、炎症性のニキビを引き起こしやすくなります。
この時期はホルモンの影響を外部からコントロールするのが難しく、スキンケアや生活習慣の見直しによる対処が中心となります。
それに対して
大人ニキビはどちらかというとホルモンバランスの乱れやストレス環境によるニキビが要因とされています。
これに対して良く用いられる薬と言えば、
抗生剤の内服(ミノマイシン)
アダパレン
ベピオゲル、ローション
ゼビアックスローション
デュアックゲル
などなど色んな薬が処方されているかと思います。
この薬は、炎症性ニキビに対して非常に高い効果を持ち、即効性も期待できる治療薬です。
ただし、ニキビの根本原因には、ホルモンバランスの変化や皮脂分泌の増加、毛穴の詰まりなど、体の内側の要因が関与していることが多いのです。
そのため、皮膚表面の治療だけでは、ニキビを繰り返さない体質づくりにはつながりません。
根本から改善していくためには、生活習慣の見直しや栄養バランスの整ったインナーケアが欠かせません。
また、皮膚の常在菌バランスを整えることも大切です。善玉菌が優位な状態を保つことで、アクネ菌の過剰増殖や炎症リスクを抑えることができます。
つまり――
ニキビ薬だけでは、ニキビを“根本から治す”ことはできません。
本当に大切なのは、「ニキビができにくい体質」に整えていくこと。
そして、それでも出てしまったニキビには、薬を使って早めにケアするという考え方が必要なのです。
たとえば、アダパレン。
これは毛穴の詰まりを防ぎ、ターンオーバーを正常化してくれる薬です。
毎日ではなくても、“予防的に使う”ことで、ニキビの発生リスクをぐっと下げてくれます。
とくに、生理前にニキビが出やすい方には――
その時期に合わせて塗布することで、ニキビの出方が大きく変わってくるケースもあります。
ただし、薬だけに頼っていては、繰り返すニキビの本当の解決にはつながりません。
だからこそ、「ニキビをつくらない体づくり」こそが一番のカギです。
これは、一人ではなかなか難しい部分もあるかもしれません。
だからこそ私は、あなたと一緒に少しずつ、確実に“改善の道”をつくっていきたいと思っています。